100万回生きたねこ
Vol. 234
30年間愛されている絵本です。私も持っています。
こんなに短い文字数で、こんなに長い物語を表現できるなんてすばらしいことだね。
100万回生きたねこ 佐野洋子 作・絵
(2007 . 8. 26 2007朝日新聞全文掲載 )
100万年も しなない ねこが いました。
100万回も しんで 100万回も 生きたのです。
100万人の 人が、そのねこを かわいがり、 100万人の
人が、 そのねこが しんだとき なきました。
ねこは、一回も なきませんでした。
●
あるとき、ねこは 王さまの ねこでした。
ねこは、 王さまなんか きらいでした。
●
あるとき、ねこは 船のりの ねこでした。
ねこは 海なんか きらいでした。
●
あるとき、 ねこは サーカスの 手品つかいの
ねこでした。 ねこは、 サーカスなんか きらいでした。
●
あるとき、 ねこは だれの ねこでも ありませんでした。
なにしろ、 りっぱな とらねこだったので、 りっぱな
のらねこに なりました。
●
どんな めすねこも、 ねこの およめさんに
なりたがりました。
●
たった 1ぴき、 ねこに 見むきも しない、 白い
うつくしい ねこが いました。
「そばに いても いいかい。」
と 白いねこに たずねました。
白いねこは、
「ええ。」
と いいました。
ねこは、 白いねこの そばに、 いつまでも いました。
白い ねこは、 かわいい 子ねこを たくさん うみました。
ねこは、 白いねこと たくさんの 子ねこを、
自分よりも すきなくらいでした。
●
白いねこは、すこし おばあさんに なっていました。
ある日、 白いねこは ねこの となりで しずかに
うごかなく なっていました。
ねこは はじめて なきました。 夜になって、 朝になって、
また 夜になって、 朝になって、 ねこは 100万回も
なきました。
●
ねこは、 白いねこの となりで、 しずかに うごかなく
なりました。
ねこは もう、けっして 生きかえりませんでした。
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